【旅な本】キャノン姉妹の1年
妄想旅は楽しい。
それが現実であろうとなかろうと、そこへ行くこと、そこで遊ぶこと、食べること。
自由自在にできるから。
読書もそれに近い。
今日は、旅した気分になれる本をご紹介したいと思います。
絶版になっているのかな。とっても素敵な本です。
「キャノン姉妹の一年」 ドロシー・ギルマン作
現実にアメリカ本土に行ったことは一度しかない。
なので、アメリカには大した思い出も無いし、思い入れもなかったりするけど、
読書では、かなりアメリカに行っていると思う。
この本もそのうちの1冊。
親のいない姉妹は、訳あって別々に暮らしているんだけど、
それぞれの保護者(親戚)の締め付けから独立するため、
ヒッピーみたいな伯父さんが残してくれた家で共に暮らし始めて・・・
という始まり。
大都会ニューヨークからマサチューセッツ州バークシャーという田舎で暮らす。
姉妹の1年の物語。
マサチューセッツ州西部バークシャー
そして、googleで画像検索して出てくるのがこの画面。
とっても豊かな自然、つまり田舎の街?村?なのよね。
時代はいつ頃だろう?電気も自動車もあるけど、本が書かれたのが1953年だから、
日本だと昭和28年。
当時のアメリカは、恐らく日本よりずっと近代的だったとはいえ、結構昔だよね。
テレビもそんなに出回っていない。
近所の人とラジオを一緒に聞く夜のシーンが、静かな田舎の貴重な娯楽として描かれていて印象的だったな。
姉妹は保護者である親戚から独立するため、ほとんどお金も持たずにバークシャーでの暮らしを始めます。
かなり思い切っての行動ですよね。
伯父さんの家には、そこそこ道具やら家具やらが残っているし、
お金もほんの僅かなら持っているから、それを基礎にして、生計を立てる算段をしていって、知恵を絞って何とかしていくのです。
正直、この辺りを読んでいるときは、他人事ながら不安な気持ちと、
「これがもし自分だったら、ニューヨークの生活を放棄しただろうか?」
と自問自答してしっまいつつ、「何とかなるよ!」
と思い切り行動できちゃう強さにも憧れを抱いたり、様々な感情が自分の中に渦巻いたです。はい。
姉妹は経済的には大変ながらも、何とか工夫とひらめきで日々をしのぎ、
友人を作り、さらには恋もしてあっという間に1年が経ちます。
その日々の物語。
この本を読むと、行ったこともこれから縁があるかもわからない
「マサチューセッツ州バークシャー」に自分が1年暮らしたような錯覚を覚えます。
豊かな自然とゆったりした時の流れの中での1年の短期滞在。
つらい時期もあったけど、思い出いっぱいの充実の日々。
自分で築き上げた日常。
物語が終わっても、空想世界ではこの姉妹の日々は続くでしょう。
でも、最後の1ページ、最後の1行が終わってほしくない。
そう思ってページを捲っていました。
マサチューセッツ州観光サイト